Column

葬祭コラム

墓じまいといろいろな改葬先の実務

・永代供養付納骨堂
 現代的な寺院施設として納骨堂が普及し始めました。納骨堂を選択する際の利点や注意点を見ておきましょう。
 都市型納骨堂の多くは永代供養付で、納骨時の宗派不問が原則としてあります。何よりも「おひとりさま」で特定の供養承継者がいないという方には安心感があります。また施設によって住職交流や寺院イベントも盛んで、生前に入手する人も多くいます。
 おおむね交通アクセスなど利便性や経済性(建墓より割安)を強調しています。但し入手に際しては、檀家になることの制約などもしっかりと見極めたいものです。
 また、自分のみ、あるいは夫婦でなど、既存サイズの拾骨容器を基準にして、個別収蔵の施設では、その個数によって料金を定めているところも多いようです。
 合祀形態の施設でも、その柱数(遺骨の個数)によって費用が異なることもあります。
 施設によっては一定期間(例:33年間など)個別祭祀後、合祀改葬される施設もあります。これらの点を踏まえて、包括的な『墓所』選びを、事前に心積もりしておくことが肝要です。
 
・樹林墓地
 都営霊園などで、合葬(合祀ではなく管理のみ)墓として最近関心が高まっています。
 遺骨を粉末状にして納めるものや拾骨容器ごと納骨するものなどがあり、特に石材等によるモニュメントはありません。樹木などを植樹された区域全体が墓所になります。
 寺院境内でも同じような樹木墓地を設置し、永代供養付の合祀墓として提供をし始めました。何よりも安価で入手できることが大きな特徴です。
 
・散骨
 墓地埋葬に関する法律では特に散骨に関して規制をしていません。しかしながら節度のないまま遺棄するようなことは、刑法に触れます。また他人の土地や港湾などそれぞれに規制があります。(迷惑防止法・海洋汚染法・不法投棄など)安易な気持ちでは、散骨は出来ません。ドラマや映画では、自然回帰やロマンを求めて海洋に散骨する場面もありますが、その海域が漁場や養殖、また観光景観などを有する場合、条例で禁止している市町村もあります。
 生前意思として、散骨を望む場合は十分に専門家に相談し、これまでの実施例などを参考にされるとよいでしょう。実施例としては、散骨が認められている海外での実施やや国内では墓地認可を取得している山林や孤島もあります。
 
【ポイント】
 お墓の様式が多様化しています。昔は墓石のデザインなどを個性的なものにすることがはやりましたが、いまはなるべくシンプルで簡易性が求められているようです。その究極が「散骨」になりますが、すべての遺骨を散骨された人の中では、祭祀対象を喪失したことで後から不安を抱く人もいます。そのために一部を散骨し、一部は納骨堂などで祭祀する人もいます。供養していきたいときに、何もないというのは寂しいことかも知れません。